マンガ評論のためのメモ1

修士論文が終わって,いいかげん自分のやりたいことを形にしなくてはいけないと思います.

第一にはマンガ評論で,今考えているテーマは「マンガの絵とその伝えるもの」.とりあえず今考えているネタを大まかにメモ程度に記しておこう.

大まかに言うとここでいう絵とは,「絵のリアリティ」と「作家個人のスタイル(絵柄)」について触れていきたい.ほかにもアングルとかコマの使い方,擬音(オノマトペ),効果なども絵に含まれるけれど.
それぞれをはっきり分断して考えるのも難しそうだけども,評論を勉強しながらうまいこと分析できたらいいなぁ.

まず絵のリアリティについて一例として4コママンガをあげる.
4コママンガは基本的に4コマは他のストーリーマンガに比べてで表す情報量が少ない.
いわゆる起承転結で,「だれそれが,どこどこで,誰かと何々をしてこうなった.」というくらいのもの.それを読み手に伝えるにはサザエさん的なディテールの低いというかリアルでない絵であることが必要十分なのだ.
仮にサザエさんの絵柄を大友克洋の絵で描いたらどうか.普通の今サザエさん大友克洋も知っている人がそんなものを見たら一種のギャグとして受け取るのではないだろうか.
ありえないけれども,もし,仮にどちらも知らない人がいてそれを読んだとしたらきっと違和感を感じるだろう.なぜこのマンガはこんな絵で描いているのだろうと思うに違いない.
(4コマのなかには,にざ・かなや駒井悠のように少女マンガ的な絵柄でシュールなことを敢えてするというものもあるが,それも結局その絵であることで作品が成り立っているという意味で例外ではない.)
何の意図もなく4コママンガをリアルな絵で描こうとする人はいないだろう.

つまりマンガ家は自分の表したいものに応じて絵柄を大まかに選択しているはずだ.
今のところあえてリアルさという意味でわけると,
(1)一般的4コマ・エッセイマンガ的な絵
(2)トキワ荘世代的な絵(ひどい括りな気もするが)
(3)少年マンガ的な絵
(4)少女マンガ的な絵
(5)劇画的な絵
(6)大友的リアルな絵
くらいには分けられる気がしているけれども問題はそう簡単でもない.
ガロとかニューウェーブと言われた世代の人とか,今のサブカル系(個人的にはサブカルという表現はあまり好きではないが)の人達はリアルさという意味で今あげた中にカテゴライズしずらいものがある.
日本のマンガは(1)から(6)に,時代的に下に下るように発展してきているけれども,(1)にカテゴライズされるようなものも今でも普通に生きているものだし,サブカル系はカテゴライズしずらいし,さらに枠組みを広げると海外マンガ(アメコミ,BDとか)は基本的に昔から(カートゥーンと平行して?)リアル路線だし,マンガ発生には風刺画なんかのカリカチュアも関わっているから初めはリアルでなかったという前提がそもそも微妙なものになる.


ということで今困っており,知り合いのマンガ評論家の方に紹介された基礎文献を読み漁らなくてはいけない状況なんですなぁ.
今回はマンガのリアリティにしか触れていないから,「今度作家のスタイル」についても少しまとめよう.